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診療所の競争力の源泉とは

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診療所の競争力の源泉とは

診療所の競争力の源泉とは

診療所の競争力の差とは

 表紙(上記)の画像のマルコフ連鎖の「状態遷移図」をご存じでしょうか。
 この表紙の画像は、次回患者が戻ってくる割合と他の診療所に行く割合を図示したものです。くるっと回っている矢印の(%)が次回も自分の診療所に戻ってくる患者の割合を表しています。その他の矢印は他の診療所に向かった患者の割合を示しています。
 このくるっと回って次回も自分の診療所に戻ってくる割合(%)(以下、これをリピート率と呼びます)が最も高いところが、最も競争力がある診療所ということになります。上記の図では(84%)のE医院ということになります。
 上記の状態遷移図は、5つの診療所があるところに新規開業するケースを表したものです。


 【状態遷移図】 下記は2店の場合
     状態遷移図2店〇.png

 これらの詳細は、「ストーリーで語るリスクマネジメント論(リスクマネジメント事例集)」(編者:石田成則、小川浩昭、発行者:株式会社創成社、2019年7月20日)第4章に掲載していますので、ご参照ください。

 また、リピート率の向上によって、どのように診療所のシェアが変化するのか、リピート率の高い地域や低い地域ではシェアはどのように違ってくるのか、などのケーススタディは、「診療所のシェアは何で決まるのか」(診療所のリピート率とシェアの関係)をご参照ください。

診療所のシェアは何で決まるのか画像〇.png
 このリピート率の差が競争力の差であり、次回も自分の診療所に戻ってくる患者が多い(リピート率の高い)ところがいつも患者の多い診療所となり、次に戻ってくる患者が少ない(リピート率が低い)診療所がいつも空いている診療所となっていきます。
 患者は「新規に来院する患者」「次回も来てくれる患者」の二通りしかありません。新規患者が各診療所に均等に散らばる(行く)とした場合、次回も来てくれる患者の割合(リピート率)の差が患者数の差となって表れていくわけです。
 従って、患者のリピート率の差が診療所の競争力の差ということになります。


 診療所は、一般のサービス業とは大きく異なるのですが、診療所の新規開業に特段の制約があるわけではありません。従って、おのずと、競合が起こり、競争が生じることになります。多くの人は、腕が良く医療の勉強に熱心な医師に診ていただきたいのです。それに応えていくためには、診療所の医師は、医療の知識だけでなく、診療所のサービスのあり方についても関心を持ち、リーダーシップを発揮し、対応していかざるを得ないのです。
 それでは、「診療所の競争力の源泉とは」何なのでしょうか。下記をご参照ください。


 

診療所の競争力の源泉とは

 医療はサービス業といわれて久しいわけですが、医療は患者の治療や生命を守るのが主目的で、サービス業といっても他のサービス業とは大きく異なります。しかし、診療所の開業に特段の制約があるわけではありません。従って、競合が発生し、競争が生じ、発展する診療所もあれば、廃業していく診療所も出てきます。

 その差は何によってできていくのでしょう。診療所の競争力の源泉とは、何なのでしょうか。

 診療所の主目的(コア・サービス)が、治療であり、生命を守ることである以上最も大きな競争力の源泉は医師にあります。医師の技量や見識などによるところが最も大きいのです。しかし、そう単純なわけではありません。医療業界は「情報の非対称性」が最も大きい業界の一つと言われています。「情報の非対称性」それを簡単に言うと医師と患者では医療の知識に関して、大きな隔たりがあり、患者には、医師の治療に対して、良し悪しの評価や判断できる知識はないのです。医師の仲間の中では、優れた技量を持つ先生と評価されても、それが一般の患者に分かるかというとそうではありません。従って、患者が医師の技量にあまり大きな差がないと感じれば、それ以外のスタッフの対応や施設の良し悪しのなどのサービス(サブ・サービスやコンティンジェント・サービス)で診療所を判断することになります。
 ただ、医師に対して、不満足を感じた場合は、スタッフや施設がいくら良くてもなかなか取り返しがつかないのです。そうすると、医師に不満がなければ、スタッフや施設の良し悪しなどのサービス次第ということになります。医師が患者に向き合う姿勢が最も重要なのですが、その上で、スタッフや施設の設備などでいかにサービスの向上を図っていくかということになります。従って、患者満足度を向上し、リピート率をアップするにはスタッフのモチベーションや従業員満足度の向上が欠かせません。
 このコア・サービスサブ・サービスコンティンジェント・サービスについては、「診療所のシェアは何で決まるのか」(診療所のリピート率向上とサービスの向上)をご参照ください。

診療所のシェアは何で決まるのか画像〇.png 

診療所の患者が増加するとは(診療所のリピート率と新規患者)


 患者は「新規に来院する患者」「次回も来てくれる患者」の二通りしかないと上記にも書きましたが、患者を増やすには、新規患者に来ていただくことと一度足を運んでいただいた患者にまた来ていただく以外にはありません。その積み重ねで患者が増加していくのです。しかし、リピート率が低ければ、患者がなかなか増えないことは明らかです。そのリピート率を高めていくためには、医師の技量だけでなく、スタッフ全員がサービスの向上に努めていく以外にないのです。
 予約システムの導入は、次に来ていただくための確率を高くします。しかし、医師にとってより重要なのは、経過観察の必要な患者やリハビリの必要な患者の重症化・重篤化を防止することに役立つということではないでしょうか。
 コロナ禍、来院を控え症状が重症化(重篤化)する患者が増えているとのことです。患者のためにも予約システムの導入の検討を進めてはいかがでしょうか。
 「診療予約・患者動静管理システム」を導入した診療所の事例「改善事例」を参照ください。

     診療予約・患者動静管理小.png               改善事例画像.png