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待ち時間対策よりも在院時間対策の重要性

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待ち時間対策よりも在院時間対策の重要性

待ち時間対策よりも在院時間対策の重要性

待ち時間対策よりも在院時間対策の重要性

 患者の院内の動静データで分かったことは診察までの待ち時間対策よりも在院時間対策(診療所に滞在した時間)のほうが非常に重要であるということです。厚生労働省が3年に1度実施している受領行動調査では、予約患者以外は、受付から診察までの待ち時間の調査。予約の患者は、予約時間から診察時間までの待ち時間しか調査していないのです。

 しかし、今回ご協力いただいた診療所の3年間の実績で分かったことは、地域性もあるでしょうが、患者は予約時間よりもかなり早く診療所に着いて、待っているということです。今回紹介した事例の地域では予約患者は予約時間より平均30分前には来ているのです。患者は診療所の医師やスタッフに迷惑をかけないように気を使ってくれているわけです。そのような予約患者のその心遣いを配慮しないで、予約時間からの待ち時間だけに焦点を当てて対策しても不十分なことは明らかでしょう。

駐車場と待合室の混雑の対策は?.png


 実際に、駐車場や待合室が混雑するのは、待ち時間よりも患者が診療所にいる在院時間のほうが混雑との相関性が高いのは明らかです。また、患者満足度の調査では、予約患者の方が待ち時間に対してシビアで不満足を感じる患者が多いのです。それは、予約時間よりも相当早く来て待っているからなのです。

 また、私も協力させていただいた最近の患者満足度調査では、遠距離から来る患者のほうが満足度が低くなることもわかりました。この調査報告については、
石田成則(関西大学)・覃慧敏(日本IBM)・前田秀樹「診療所の患者満足度に関する研究ーガバナンスの視点からー」として、『保険研究』第73集、2021年8月に刊行される予定です。


 これらのことは、医療機関については、拘束される時間が長いほど満足度が低くなるということではないしょうか。従って、患者満足度の向上を図るためには、診察までの待ち時間よりも患者を拘束することになる在院時間の短縮・改善のほうがより重要なことを表しているのではないでしょうか。


 いろいろな待ち時間対策の書籍を拝見しましたが、そのような在院時間の実態を把握した上で改善策を検討している事例は見かけませんでした。上記のように待ち時間だけでなく、患者の院内の在院時間の実態を把握することがとても重要なことが分かります。その実態を把握分析した上で、対策を立てなければいつまでたっても患者が満足する対応はとれないのではないでしょうか。

 今回、ご紹介しているシステムは。診療所の予約管理だけでなく、患者の院内の動静を把握し、改善に役立てようというシステムです。そして、それらを繰り返し把握分析することで、自然なかたちで改善のPDCAサイクルを構築し、患者満足度の向上を図っていこうとするものです。
 是非、「改善事例」をご参考ください。また、「待ち時間の把握と分析」「待ち時間の改善方法」も併せてご参照ください。
 表題は、「待ち時間」となっていますが、「待ち時間対策」だけでなく、「在院時間」の把握と改善です。


改善事例画像.png   待ち時間の把握と分析画像.png   待ち時間の改善方法画像.png

また、なぜ患者満足度の向上が必要なのかは、「診療所のシェアは何で決まるのか」をご覧ください。
                          診療所のシェアは何で決まるのか画像〇.png